オカピの撮影に成功した翌日。
私たちスタッフは再びビルンガ国立公園の
ロッジへと向かいました。
公園内にある
「人と野生動物が一緒に暮らしている村」を
撮影するため、
村人たちが作ってくれたあの飛行場から
飛び立ちました。
ビルンガ国立公園は、
ライオンに襲われ、お尻から足にかけて
肉がはがれていたカバに出会った場所です。
村へ向かう前に、
再びカバの朝帰りを撮影しましたが
傷がすっかり治って動くカバの姿を
確認できました。
撮影を終えたあとは、1時間かけて
最初の目的地であるビチュンビ村へ向かいます。
この村はエドワード湖のそばにあり
村人は”湖の民”と呼ばれていました。
到着して、まず不思議に感じたのは、
村人たちが全く私たちに
寄ってこないことでした。
この撮影期間中、どこへ行っても
よそ者の私たちを珍しがって
子どもたちがまっさきに寄ってきますが、
この村では誰も寄ってきません。
ですが、避けている様子もありません。
「なんだろう?この雰囲気は!?」と
思いましたが、
そこに流れている
“自然がゆえの雰囲気”に包まれて
私たちもいつの間にか溶け込んでいました。
大勢の村人たちが行き来する中、
歩き進めていくと
私の肩ほどの高さのある鳥に出会いました。
アフリカハゲコウです。
まるで自分も「村“人”」
であるような顔をして、
人の流れの中をゆっくりと
一緒に歩いているのです。
反対側から、小さな裸の子が
ヨチヨチと歩いてくると
何とハゲコウは立ち止まって
片足を上げたまま通り過ぎるのを待って、
また歩き出します。
見回すと、家々の屋根の上に、
何羽ものハゲコウがとまっています。
この村では当たり前な光景なのです。
そして家の裏にある小さな池にはなんと、
カバの母と子がいます。
レンジャーから子どもを連れた母カバは凶暴で、
うっかり近付くと
車もひっくり返されると聞いています。
シーツやシャツなど、
洗濯物が干されている横の池で
カバの母子は、ゆったりと過ごしていました。
ここは野生の生きものにとっても村人にとっても
互いの存在はごく自然なものであり、
よほど安心できるところなのだ、
と驚いた感覚は今でも忘れられません。
湖のそばにあるこの村の反対側には
水草がびっしり浮いた沼地が広がっています。
そこにはトキイロコウという鳥を
見ることができました。
竹田津さん曰く
「哲学者のよう」という姿をしている彼らは
沼の浅瀬に40センチもあるくちばしを
開いて差し込み、
その口の間を魚が通過するまで
何分でもじっと待っているです。
「沼地」といえど、
多くの魚が生息できる水質なのだと
思いました。
トキイロコウだけではなく
セイタカシギ、ヘラサギ、クロトキ、
オニアオサギ、
レンカク、ヘラサギ、シロクロケリ、
などなど、
日本に渡ってきたら大騒ぎになるような
珍しい野鳥たちが、
それぞれに独特のやり方で魚を採る様子が
目の前で次々に繰り広げられ、
あれもこれもとカメラを回し続けたのです。
何よりも驚いたのは、
私たちが乗っている車はほとんど移動せずして
この光景が撮影できることでした。
これまで野生の生き物を
苦労して撮影してきた私たちには
夢のような環境でした。
次は村のサッカー場へと車を走らせました。
そこはとにかく広い自然の芝生が
広がる広場だったのですが、
イボイノシシの遊び場でもありました。
イノシシと言えば
日本では荒々しく凶暴なイメージがありますが、
サッカー場にある浅い池に入り遊ぶ彼らの姿に
凶暴さは全く感じられませんでした。
村人がサッカーをやろうと集まると、
場所を譲るように離れていくのだそうです。
当時放送された映像から写真を抜粋することができました。
ホームページにも掲載しておきます。
▼以下写真資料ー番組映像から▼
※制作会社・グループ現代より許可を頂いて
掲載しています。