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水

​「水つくり」開発ストーリー
水物語その60 オカピの取材②

日本では考えられないような文化を

目の当たりにしながら

私たちは無事、中央都市である

ゴマ空港に到着しました。

現地の案内人の指示で

タクシーに乗り込みましたが、

タクシーはなんと全てが白タク。

日本の商店名が書かれたままの車が

何台もありました。

 

指定された3台に分かれて乗り込み、

宿舎のロッジに向かいましたが、

私とカメラマンが乗った車が

坂の途中で止まってしまいました。

すると、運転手は慌てることもなく

後部座席にいる私たちにむかって

「降りて押せ」というのです。

言われるがまま、私たちは車から降り、

運転手と一緒に押しました。

汗だくになってなんとか坂を上りきり、

へとへとでタクシーに乗り込む私たちに

運転手がクーラーのスイッチを

入れてくれたのですが

クーリングが壊れていて

ほこりまみれの熱風が出てくるので

すぐに止めてもらいました。

そうしてやっと宿のロッジにたどり着き、

運転手は案内人から料金を受け取って、

私たちに手を振っただけで行ってしまいました。

車を押したことは

まるでなかったことのようでした。

恐らく、現地では当たり前のことだったのです。

翌朝。

スタッフで食事していると、

早くから出かけていたコーディネーターと

現地の世話人が戻ってきて、

チャーター機が故障で出発が

3日遅れると告げました。

「その代わりというと変ですが、

明日、牧場主さんが招待してくれることに

なりました」

とのこと。
 

牧場主の豪族から招待を受けたことは

「水物語その4」「水物語その5」

ご紹介いたしましたが、

そこではレタスが1週間で出来ることを

教えられ、

地球本来の力に気付かされたのですが、

この時点ではまだそんなことは

予想もしていません。

翌日、牧場主さんからの迎えの車で

出発しました。

牧場主の屋敷はなだらかな丘を

いくつも越えた山の頂上にあり、

途中で道が壊れているので、

車を降り、歩いて登ります。

低い山の尾根伝いの登りですが、

天気が良くても暑くなく、

風も無い穏やかな日でした。

見渡せる道の左手にはおまんじゅうの形をした

低い山が連なっていて、

山全体に頂上から渦巻き状の段が付いています。

「あれはね、蹄耕法(ていこうほう)と言って、

牛に歩かせながら耕す農法の畑だよ。」

とレポーターの竹田津実さんが

説明してくれました。

レポーターの竹田津実さんは、

北海道のに住む獣医で

「キタキツネの写真」で知られる

自然のカメラマンです。

「野生の王国」の北海道シリーズを

一緒に作ったご縁で、

夫人の雅子さんと

一緒に参加してもらっていました。

道の途中、

「あらー日本のタンポポとおんなじだねー」

と雅子さんがしゃがみ込みました。

足元の道端にタンポポが

沢山咲き誇っていたのです。

まさに日本の7月初めの気候にそっくり、

草花もそっくりです。

「アフリカは暑くて貧しいところ」というのは

間違いかもしれないと

私は改めて当たりを見渡しました。

右手のなだらかな丘に

草ぶき屋根の家が並んでいるのが見えました。

そのさらに上の方には

周りの家より明らかに大きく

土壁で長方形の建物、

恐らく村の集会場があり、

なだらかな下り道を挟んだ手前には

小人のとんがり帽子のような形をした家が

ずらっと20軒以上ならんでいます。

望遠鏡を覗くと、

とても清潔に暮らしていることがわかります。

村の周りには綺麗に区切られた畑が何枚もあり、

村から下がった山肌は

若々しい緑色の段々畑が広がっていました。

 

「竹田津さん、

ここはものすごく豊かなところのようですね」

と私が言うと

「そうですよ!勤勉なのは日本人ばかりだ

と思うと大間違いします。

此処の人は本当によく働くんですよ」

とまるで住んでいたかのように話してくれた

竹田津さん。

実はこの時点で27回目の

アフリカ取材だったのです。

牧場主の屋敷に着くと、

ご主人と子どもを抱えたご夫人が

出迎えてくれました。

石造りの家は豪華に見えながらも、

実に計算されていて住みやすそうな造りでした。

私は壁一面の大きな棚と

リビングのまん中に置かれた

厚さが20センチもほどある、

大きく長いテーブと長椅子が

明らかにドアからは入れられないサイズで

気になってしまい、

「この家具はどうやって持ち込んだのですか?」と尋ねたら

先に家具を作ってから

家を建てたと教えてくれました。

そして、その立派なテーブルに

並べられた食事を前に、

自家製のワインで乾杯した後、

あの衝撃的なレタスが種から1週間で出来ることを聞かされたのでした。

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提供・竹田津実 氏

なだらかな山肌全面が畑になっています。奥の四角いところは野菜の畑のようです。

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一番奥に四角い長方形の恐らく集会場。

壁は土、屋根は稲わらか麦わらか

現地の植物か?

昔の日本の村を彷彿とさせます。

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