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水

​「水つくり」開発ストーリー
水物語その50 プロの現場から~パン職人②~

「すずの木ベーカリー」は、

水つくりと最初の出会ってから2年後の夏に

開店するのですが、

開店直前に事件が起きました。

開店準備中の新しいお店で

パンの試作を重ねていた鈴木さんから

「うまく酵母がふくらみません!」

という電話があり、

私は飛んで行きました。

新築マンションの1階の

パリの街角にあるような店構えで、

中に入るとまだステンレスが

ピカピカの大きな冷蔵庫と調理台、

そして悄然として立っている鈴木さんの前には

ふくらんでいないパンがありました。

私はすぐに持参した検査用具で

水を調べましたが、問題なし。

近くの喫茶店に移動して、

悩む鈴木さんと原因を一緒に考えました。

「このままでは開店できません」という

鈴木さんの顔は思い出すと今でも怖くなります。

結局その日は一旦、解散となりました。

数日後。

鈴木さんは大きな決断をされました。

「酒造りのサカムロには、

ムロ全体に酵母が住み着いている。

ここは新築だから酵母が住み着いていないので

うまくいかないのではないか。

ということは酵母を住み着かせれば良いはずだ」と考え、

作業場全体に天然酵母を住みつくまで

なんと開店を遅らせることにしたのです。

鈴木さんのが考え出した方法は

独特のものでしたが、

それから3週間目には

明らかにパンのふくらみが出て来ました。

結局、当初の開店予定日から約1か月後の

2014年8月。

すずの木ベーカリーはオープンしました。

天然酵母を作業場全体に住み着かせる作業は

オープン後も1か月間は続けたそうです。

今回、鈴木さんに、改めて天然酵母を使っての

パン作り作業を詳しく聞いたのですが、

これがなかなか大変です。

プロの仕事は、なんでも大変なのですが

ご紹介します。

毎日午後3時になると小麦粉に天然酵母を

練り込む作業を始めます。

少し寝かせてから発酵機に全て入れて午後5時。

1次発酵には約10時間かかりますから、

掃除をして店を閉めて帰宅、

眠りにつくのが午後8時前。

翌日、夜中の午前1時に起きてお店へ行き、

一次発酵を確かめ、

山型と角型の食パン型に種を入れます。

少し休ませ、二次発酵機に入れます。

二次発酵の時間は1時間から1時間半。

この間にコッペパンやフランスパンや

菓子パンの形つくりをします。

そして二次発酵が終わったものから

焼き機にいれます。

焼く時間は食パン類が約40分。

その他のパンは10〜20分。

これらの作業を同時並行して進め、

最初のパンが焼き上がるのが朝の6時半頃。

次々に焼きあがるパンを冷まし、製品棚に納め、

お店の棚にも並べて、

開店の準備が出来るのが午前10時になります。

お店を開けるのは午前11時半。

それまでに朝食とり、開店。

午後1時過ぎまでお客様の対応をします。

「これらを一人でこなしていると、

他に何も出来ないし、

 テレビもゆっくり観られないので、

社会で起きていることにうとくなります」

と言い、

今年53才になる鈴木さんは少しはにかんで

「この体が動かなくなったら、お終いですね」とボソッとつぶやきました。

ホームページでは見習い者を募集しています。

良い若者が現れればいいなーと願います。

 

すずのきベーカリー

住所 東京都文京区本郷2-29-10
TEL 03-3818-1728

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