ベトナムで放置されてヘドロまみれの状態だった
エビの養殖池を
水つくりリアクターで水質改善させ、
新たに海ぶどうの養殖に成功させたNさんの話は
とても嬉しいものでした。
私が「リアクターを
そんな風に使ってもらえるなんて」
と喜びを伝えると
「あと千枚あるのよ」
「何が?」
「腐ったヘドロの池が。
実際は600枚くらいらしいけど」
なんとベトナム中部の海岸
5〜60キロにわたって
最初の池と同じように
捨てられた池があるとのこと。
「その池は全部日本へ輸出する用の
エビを育てる池だったんだ。
日本人はエビでベトナムの山を
食っちゃったんだよ!」
Nさんは現地で調べた日本向けエビ養殖の実態を
詳しく語ってくれました。
ベトナムの水産物輸出は
養殖エビが中心となっており
外貨獲得産業として
かなり大きな割合を占めていました。
特に、最大の取引先である日本への
安定した輸出を維持するために
生産量の増加とスピードが求められました。
そのため、池での養殖率が悪くなると
ヘドロを一度全てかき出し、
近くの山の腐葉土を入れて
水を再生させていましたが
ついには使える山の土もなくなり、
池は捨てられてしまった、というのです。
さらに放置され腐ってしまった池には
海と繋がる水路もあるため
そこから池の水が海へと流れ出し、
今では海荒れの原因になっているというのです。
そこに水つくりを活用した
この海ぶどう養殖成功がきっかけとなり
現地では養殖会社が次々と出来ていったとの事。
ライバル会社はNさんが実験した池から
海へと流れ、
対岸まで着いた海ぶどうを使い
繁殖に成功させたようです。
養殖池はどんどん増え、
それらの池から流れ出た水は
沿岸の海を綺麗にしていき、
現地で働くベトナム人が
「昔のきれいなベトナムの海が戻って来た。」と、喜ぶほどになったそうです。
ご存知の通り昔は高価であった海ぶどうも、
今ではかなり身近なものとなり、
飲食店でも定番メニューとなっています。
今回の事例では、
やはり自然の限界を
越えてはならないということ、
自然の循環力を無視した生産をおこなうと
地球が作り出した壮大な生態系サークルを乱し、
ヘドロとなり、止まってしまうということを
痛感するものでした。
イギリスの生態学者である
ジェームズ・ラブロック氏のガイア理論では
「地球と生物が相互に影響しあうことで
地球がまるでひとつの生き物のように、
自己調節システムを備える」
と提唱されています。
私たち人間の文明は
自然の恵みをいかに使うかで
環境は大きく変化するのだと感じました。